1.走り幅跳び

問題

 5年生は,来月,体力テストがあります。そのテストの結果をもとに,陸上の選抜チームを作ります。代表の4種目のうち,3種目の代表は決まったのですが,あと一人,はばとびの代表を選ぶ必要があります。

  1回目 2回目 3回目 4回目 5回目
たかし 355cm 345cm 385cm 360cm 370cm
たける × 372cm 350cm 390cm 360cm
たけし 400cm × × 405cm ×
たかひろ × 385cm 372cm × 378cm

授業例

概要

 体育の学習で行った走り幅跳びの記録から,区連合運動会の代表選手を選出する方法を考える教材で,「他者との相互作用」を促す手立てを講じ,小学校5年生に対して授業を行った。「記録が良い」ことと「失敗が少ない」ことが両立できないような条件を提示したことにより,はじめは一つの視点のみに着目した児童が,他方の意見を聞き,良さを知ることで,結論を変えたり,自分の価値に基づいた判断に自信を深めたり,それぞれの良さを取り入れた折衷案を考えたりする児童がいたことが確認された。一方,他者の考えを理解できずに判断した児童もおり,他者との相互作用を有効に働かせるための手立ての充実が課題として残された。

教材について

 本教材は,体育の学習での走り幅跳びの記録を基にして,連合運動会の代表選手を選ぶという,複数の選択肢(4人)の中から,与えられた条件を基にして一つを選びだす問題である。児童は日常の体育の学習で走り幅跳びという種目を行っており,その記録の取り扱いについても理解している。児童は与えられた幅跳びの記録のデータを使用することで選手を選択できることに気づき(A-1定式化),着目した条件に応じて,測定の結果を基に条件を考慮して指標を設定し,場面に応じて推論し(A-3数学的推論・分析),判断の根拠を説明する(A-4解釈・評価,A-5数学的コミュニケーション)という学習活動を行っていく。
 選手を選ぶためには,記録だけではなく,ファールを考慮して,自身の価値観をもとに,選手を選ぶ必要がある。また,「学校の代表選手を選ぶ」という設定により,どうしてその選手が幅跳びの代表に選ぶのにふさわしいかを説明する。その際には,どのような考えが基になって選手を選んでいるのかを評価することになる。