15.アウトブレイク

ウィルス感染による病気拡大を阻止する科学者となり,感染者の発見につながる戦略を考え,ワクチンを開発し,ウィルスの拡大を最小限に抑えるためのワクチン接種計画をつくる。スターターキットもご活用ください

学習の流れ

教材の概要

 生徒達は,ウィルス感染による病気拡大を阻止しようとする科学者となり,(Activity1)感染者の発見につながる戦略を構築し,(Activity2)解毒剤を開発し,(Activity3)ウィルスのさらなる拡大を最小限に抑えるためのワクチン・プログラムを策定する。
 Activity1では,座標上のどこかの点に感染者がおり,それをさまざまに設定される条件から特定して割り出す。生徒が探知機の設置位置を指定すると,そこから感染者の位置までの情報が与えられる。Option1では生徒が設置した探知機からのx軸方向,y軸方向の距離(1マス1kmという設定)の和が与えられる。探知機を3つまで置くことができる。Option2では座標の中心に置かれた探知機からの角度と距離が与えられる。Option3では生徒が設置した探知機からの角度のみが与えられる。探知機を2つまで置くことができる。

Activity2では,A~Fの薬品が与えられ,それらをうまく調合して解毒剤を作り出すというものである。比や割合,つくる解毒剤の量などの条件が与えられ,A~Fそれぞれの薬品の調合する量を指定する。Option1~3は比や割合の与え方が変わり,少しずつ複雑になっていく。

 Activity3では,Excelが起動し,さまざまな職種の人々とその人数の割合に応じて,解毒剤をどの程度供給するかを決定していく。解毒剤は2~3種類あり,Aは効果が高いが,コストも高く,Cになるにつれて効果はやや下がるがコストも下がる。これらを限られた予算の中で,どのように分配するかを計画する。その際に,スプレッドシートにどのような計算式を入力しておけばよいかを考え,自動的に計算されるように作っておく。

数学的判断力

Activity1 1つ目の探知機を置いたときに与えられる条件から,考えられる感染者の位置を想定した上で次の探知機を置くべき場所の選択肢を設定する。その選択の判断によって,次の探知機を置く上で与えられる条件がまた変わってくる。(例えば,探知機を1つ設置したときに得られる情報によって,2つ目の探知機をどこに置けばより上手く場所を特定できるかを考える。さらに3つ目の探知機は置き方によっては1カ所に特定できなくなる。)それぞれの選択肢の設定とその選択の場面で,先を見通すことが求められる。
Activity2 比や割合が異なる文章表現,数値表現で与えられる状況で,適切な配合の比率を求めることとなる。本研究でいう「数学的判断力」を問う問題ではない。
Activity3 与えられた条件に合うように,いくつかの仮説を立て,それらの中でより適切なものを選択し,さらにそれを修正しながら,よりよい計画を立案する。(例えば,数式を上手く入力した後で,表に数値を入れていく。すると,コストの面や効果の面からの分析が求められ,条件を越えてしまえばそれを修正する必要に迫られる。また,どのグループの人々に効果の高いワクチンを配給するかという判断も迫られる。様々な要素を含めた総合的な判断が求められる。)

数学的内容

<数と代数> 有理数の利用,有理数の特徴とそれらの異なる表現,算術の規則を有理数の計算や操作に適用すること,比や割合の利用,精度と丸め
<形と空間> 二次元座標における点,直線,図形,ピタゴラスの定理,相似,縮尺の利用を含む。

ICTの活用状況

・動画-有
 問題場面提示。人類が未知の殺人ウィルスによる驚異にさらされていることやそれを防がなければならないこと,スペシャリストとして手助けをしてくれる科学者の紹介など,映画のような演出でタイトル画面に至る。
・ソフト-有(Excelも利用)
 Flashの機能によるゲーム形式のワークシート。マウスで探知機をドラッグして設置したり,数値をキー入力する。Activity3はExcelが起動し,与えられた表内のセルに数式を入力してスプレッドシートを作りながら作成する。Excelの使い方の理解が必要。

コメント

  • 子どもにとって,興味深い題材で,ストーリーにあった数学的内容が上手く配置されている。とくにActivity1では,問題を解決していく過程の中で,必要に迫られて,座標の考えやピタゴラスの定理が必要になるように考えられている。また,ICT操作の負担も少ない。
  • Activity3だけは少し異質であるが,Excelにおいて,表の枠やいくつかの条件だけを与えられた状態で,スプレッドシートを作るために適切な数式を考え,生徒自身が設定するところが興味深い。
  • Activity2は,割合や比に関するいろいろな問題が与えられて,その解答のみをICT操作によって入力しているという印象が強い。生徒の操作によって与えられる条件が変わってくるActivity1や自分で数式を上手く設定することによって作業が上手く進んでいくActivity3に比べて,ICTを活用する良さが弱いように思われる。

(櫻井順矢・山梨大学教育人間科学部附属中学校)

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