6.ミステリー・ツアー

旅行会社において,様々な条件を加味しながら,限られた予算内で旅行客に満足してもらえるようなツアーを企画する。

学習の流れ

教材の概要

 UKにある架空の旅行会社において,様々な要素を吟味して,限られた予算(30,000)で旅行客に満足してもらえるような,2泊3日の団体旅行を企画する。全3時間の内容で,生徒は一人または少人数のグループに分かれて活動する。1時間目は様々な情報(予定表や経費等)を収集・統合し旅行企画の戦略を立てる。2時間目は立てた計画に基づいて旅行をシミュレーションしながら目的地での問題解決を図り行程の振り返りをする。3時間目はシミュレーション結果をふまえて評価報告書を作成し発表する。
 旅行の行程にはいくつかのルールがあり,その範囲内で企画しなければならない。「Mystery Tours HQ」を出発地とし,UK内の8都市から1日に2カ所を上限として目的地を選択し,3日目の最終目的地で出発地に戻ってくる行程を組む。また,目的地ごとにその都市を見学する所要時間が異なる。都市間の移動には馬車,列車,飛行機の3つの手段があり,それぞれにかかる時間と料金が異なる上,移動に要する合計時間の上限が7時間半までと定められている。また,1日目と2日目の終わりには宿泊施設を選択する。団体客は自然愛好家,スリルを求める派,文化大好き派の大人10人ずつで構成され,目的地や宿泊施設の選択によって得られる客の満足度が異なる。午前8時を各日の活動の始まりとし,午後5時から9時までに各日の宿泊施設まで戻らなければならず,それが守られないと客の満足度は低下する。また,各都市ではツアー客にさまざまな問題が起きたり要求が出されたりし,その解決の場面をせねばならず,その正否によっても旅行客の満足度が昇降する。

数学的判断力

 各都市の情報や移動にかかる費用・時間などのデータを収集する。そして,データに基づいて増減する満足度をグラフから読みとる。多くの条件の中から優先順位を決めて計画を立てるとともに,シミュレーションの中で起こる問題の解決を図る。また,旅行の評価レポートを適切なグラフ等を用いて作成し発表する。

数学的内容

<代数> 連立方程式,観覧車が1周するのにかかる時間を求める
<図形> 積み上げられた石の個数を求める,パズルのピースの個数を求める
<統計> 距離・時間等のデータ表から必要な情報を取り出す,適切なグラフ等を用いて旅行の評価レポートを作成する

ICTの活用状況

・動画-有
 旅行をシミュレーションする際の移動が示されるが,動画を元に判断する要素は含まれていない。
・ソフト-有
 様々な情報を閲覧するためのWebを模したものがある

コメント

 どのように行程を組めば客の満足度を上げることができるのかを,①様々な形式のデータから必要なものを取り出し,②総合的に考察して計画を立て,③実際のシミュレーションを経て,④最終的に報告書を作成するところまで進めるという活動は,現在の日本における数学教育の授業では実現されていない。各活動の始めには,活動が円滑に進むためのレディネスを確認するための資料も含まれてはいるが,日本の中学生では,この活動を行ってもおそらく何をどうしていいか分からないままICTを触っているだけで過ぎてしまうことが危惧される。

(江崎智彦・横浜市立仲尾台中学校)

ダウンロード

実際にソフトウェアをダウンロード (Only in Japan) してご利用頂けます。

 

動作環境:Windows • Mac OS X

▼ パッケージのご利用方法
ダウンロードしたZIPファイルを選択し右クリック。
「すべて展開」で解凍後,フォルダ内にある「start.exe(windows)または start.app(Mac)」をダブルクリックで起動してください。

授業で使用した場合は,感想をお聞かせください。