2084年,銀河の末端でどうにか生き凌いでいるというストーリーのもと,任務として課せられる問題を解決していく。
学習の流れ
教材の概要
生徒たちは,2084年にこの銀河の末端でどうにか生き凌いでいるさまざまな人物の役を演じる。原形をとどめないほどにボロボロの宇宙船に乗り,次の任務を行う。それは,①危険な星雲を安全に抜けるルートを探し,②遠く離れた惑星との間で貿易をおこない,③宇宙ハイウェイを塞ぐ小惑星をソニックチャージで破壊することである。
①では,正六角形を敷き詰めた画面が現れる(図1)。
生徒たちは,宇宙船をStartからGoalまで無事に通過させるルートを設定する。このとき,宇宙船は辺が隣り合う正六角形を1つずつ通っていかなければならないが,この1つ1つの正六角形にさまざまな確率で宇宙船がダメージを受ける設定がなされている。できる限り安全なルートを設定し,宇宙船を無事に通過させることが目的である。
まず,宇宙船の「Front shields power」,「Rear shields power」,「Life support power」に100の数値をそれぞれに配分する(図2)。これらの数値が1つでも0になると,宇宙船は爆発してしまう。
次に,Start から Goal までのルートを設定する。正六角形のピースをクリックすると,画面に「Front shields power」,「Rear shields power」,「Life support power」それぞれに対する危険度が確率で示される(図3)。
選んだルートは赤く塗りつぶされ,StartからGoalまでのルートが決定したところで,宇宙船を出発させる。宇宙船は設定したルートに沿って,各ポイントで確率に見合ったダメージを受けながら進んでいく。始めに設定した数値(画面左下表示)がリアルタイムで減っていき,0になったところで宇宙船が爆発する(図4)。
失敗しても成功しても同じ設定でもう一度宇宙船をとばすか,始めから設定をし直すかを選択することができる。同じ設定で宇宙船をとばした場合,確率によって結果が変動するところはおもしろい(図5)。
図5(左は失敗,右は成功)
②では,座標上にいくつかの惑星が表示される。これらの惑星をクリックすると,画面右側の情報が表示される(図6)。
「Minerals」と「Food」と「Fuel」と「Cloth」の売価と買価が表示されるのだが,惑星ごとに通貨が違うため,そのレートも異なっている。また,各惑星の通貨で品物の売価と買価が表示されるが,それぞれ異なる量に対して値段が付けられている。生徒たちはここで得られた情報をもとに,各品物についてどの惑星と貿易をするかを考える。ワークシートや通貨,品物のカードを利用して(図7),生徒同士で擬似的に取引をさせる。
③では,小惑星を覆うように座標平面が表示され,画面右にはそれを破壊するための4種類のソニックチャージについての情報が表示される(図8)。
図8
各ソニックチャージには,不等式が設定されている(図9)。
この不等式を満たす位置に各ソニックチャージをドラッグして座標上の格子点にセットする。全部で20個のソニックチャージをセットしたら,それらを爆発させる(図10)。
セットするソニックチャージによって得点が異なり,不等式の難易度も上がっている。不等式に反する位置にセットすると,その得点は加算されない。
数学的判断力
Activity1 | できる限り,リスクが少ないようなルートを考える。その際,個々のポイントについて考えるのではなく,ゴールまでのルート全体を見通した中で,想定しうる選択肢を設定する。それらの中からより適切と思われるものを選択することが求められる。また,宇宙船のパワー配分の工夫も同様に選択肢の設定とその判断が求められる。すなわち,「Front shields power」,「Rear shields power」,「Life support power」の3つのバランスを均等にすれば,全体的にリスクの低いルートを設定することになる。一方で,例えば,「Front shields power」のみリスクの低いルートを設定して,パワー配分を他の2つに重点的に配分するという方法も考えられる。ルートを設定してから,それぞれの確率を計算し,そのリスクの高さに応じて,パワー配分を設定することもあろう。 |
Activity2 | 通貨の換算をもとに,単価を求めるなどして選択肢を設定し,それらを比較する際に判断に迫られるが,単位の換算の練習問題という印象も強い。 |
Activity3 | 不等式を読み取り,それを満たす格子点を選択肢として想定する。そこからより適切な点を選択する際に判断が求められるが,不等式の図表示ができれば,あとはマウスでの操作のみとなるため,不等式の練習問題という意味合いが強い。 |
数学的内容
<数と代数> | 計算の規則を計算や有理数の扱いに利用すること;小数や分数,百分率を利用すること;比と割合;数値の丸めと精度;グラフに表して代数的な解決をすること |
<幾何と計量> | スケール;単位;数量の合成と換算 |
<統計> | データ処理の利用;およそ等しい結果やその頻度を考慮した数量の公算,または概算を利用し,理解すること |
ICTの活用状況
・動画-無
(ただし,設定した条件でシミュレーションさせるときにアニメーションが表示される。)
・ソフト-有
Flashによるゲーム形式
コメント
- Activity1は確率を複雑に構成しているため,生徒は様々な方法で判断に迫られる。シミュレーションをするたびに確率通りに抽選されているため,複数回試行の実験として興味深い点もある。正解を導くのではなく,できる限りリスクの少ない選択をするという問題解決はICTを利用したものならではではないだろうか。
- Activity2,3は,演習問題色が強い。
(櫻井順矢・山梨大学教育人間科学部附属中学校)
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