35.ドラッグストアの割引カード

問題

  太郎君の家から歩いて5分の所に薬アイジョーがあり,太郎君はそこでよく買い物をしています。
ところがこの6月に自転車で30分の所に新しく薬ヤスモトが開業しました(図1)。2軒のドラッグストアは,8月に向けた還元大安売りで割引カード配りました。太郎くんのところにも図2 と図3 の2種類の値引きカードが郵送されてきました。
 薬アイジョーは家から近いし,これまですべてそこで買い物をしていたので,太郎くんは薬アイジョーにしようかなと思いましたが,薬ヤスモトの割引カードも魅力的に思えました。家から少し遠いけれど,薬アイジョーより安くなるなら,行ってもいいなとも思いました。

  1. 太郎くんは,どちらのお店で買い物をした方が得でしょうか。チラシを見ながら考えてください。
  2. 「薬ヤスモト」に対抗して「薬アイジョー」では支店長会議を開いて,現在の割引カードを新しく作り替えることにしました。どのように作り替えれば,お客様が「薬アイジョー」に来てくれるようになるでしょうか。支店長会議を開いて対策を考えてください。

 

授業例

概要

 2つのドラッグストアが発行している割引カードについて,どちらが得になるかを考える教材を開発し,数学的・社会的価値認識による判断力をはぐくむことを目的として,中学校3年生に対して授業を行った。2つの割引カードの関係について,代数的・関数的にとらえることにより明らかにし,条件を変更することにより新しい割引カードをつくる活動を行った。生徒のワークシートや学習感想より,よりよい割引カードをつくる基準をグループ活動を行うことにより高めることができ,新しい割引カードに対する価値観を数学的・社会的価値認識に求めることにより,社会的価値による判断力をはぐくむことができたと考える。

教材について

 この教材は,右の図2,図3のような2軒のドラッグストアが配布した割引カード1)2)を取り上げ,どちらで買った方が得かについて考察する。
 「薬ヤスモト」は,購入した金額の15%が値引きになるカード(図2)を発行している。このカードは1度だけ使用することができ,購入する金額に制限はない。
 「薬アイジョー」は,1回目から3回目まで買い物に行くことにより値引きになるカード(図3)を発行する。1回目の買い物では250円の値引き,2回目の買い物では購入した金額の10%の値引き,3回目の買い物では400円の値引きが行われる。ただし,「薬アイジョー」は,1回目から3回目の買い物でそれぞれ2,000円以上を使わなければいけないという制限が設けられている。